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有賀泰治ブログ

8月の経営方針共有勉強会

今月のテーマ
《 上昇 》

・・・・・・・・・・・・・・・2016年8月1日
・・・・・・・・・・・・・・・有賀泰治

1、可能性

若いというだけで、いかに恵まれていることか。こんなエピソードがある。70歳の文豪が青年に言った。
「君たちは若い、若いということは幸せだ」。
青年が、“ 全てには例外があり自分は例外です ” と答えると、文豪は厳しい表情を浮かべた。
「そんな言い方を、私は誰からも聴きたくない。とくに若い人からは絶対に」「そんな言い方は、欲張りと無気力を同時にしめしている。人生をみじめにし、行動する気力を弱めるものだ」。
文豪とは、かのゲーテであった。(ピーターマン編、菊池栄一訳『ゲーム対話録Ⅱ』)
人間の可能性は無限のはずだが、「自分には力がない」と決めつけると、本当に力が出せなくなってしまう。自分で自分の可能性を閉ざしてしまう愚かさを、ゲーテは戒めたのではないか。そして、ゲーテ自身が詩人、作家、自然科学者、政治家などの分野で活躍し、人間の無限の可能性を示した「行動の人」だった。

2、個人の責任ある貢献がすべての根本
組織、集団に対する個人の責任ある貢献が、チームを動かし、会社をうまく動かし、社会をうまく動かし、そして文明をうまく動かしていくのだ。

・・・・・ヴィンス・ロンバルディ/アメリカンフットボールコーチ

人間の強みは、集団、組織の力を使えることである。これは集団、組織の強みであり、所属する個人の強みで(自己実現を含む)でもあるようにしなければならない。
つまり個人のわがまま、怠慢、無責任がはびこる組織、集団は、個のチームであろうと、会社であろうと国家であろうと崩壊していくだろう。
反対に、個人の責任ある貢献(一人ひとりの強みを最高に生かしていくこと)が、チームの強さ、会社の発展、国力の充実となっていくのだ。
個人としても、こうしたチーム、会社、国の強化、充実に貢献することで、自らの人生目標や自己実現を果たしていくようにしたいものだ。
ドラッカーの言葉も参考になる。
「自らの強みであれ他人の強みであれ、人の強みを生かす者は、組織としての成果と一人ひとりの人間の自己実現を両立させる。自らの知識が組織の機会となるように働く。貢献に焦点を合わせることによって、自らの価値を組織としての成果に結びつける」

3、平凡でいい。必ずしも特別な才能はいらない。ただ真っすぐにその道を実践し抜いた人だけに“ 勝利の光 ”が輝く。

刀剣の名匠たちが手掛けた刀には、時を超えて人々を魅了する不朽の趣がある。
刀剣界最高の「正宗賞」を受賞した現代の名匠が、人材を見極める基準を語っている。
「下手な子、不器用な子がいい」。なぜか。器用な子はなんでも無難にこなすから、仕事を軽くみがち。結局、刀一筋にはならないことが多いという。
「千年の技と美」に挑む刀剣の世界では、要領や小手先など通用しない。技術の巧拙(こうせつ)より、うまずたゆまず、鉄をたたくことに精魂を注ぐ弟子こそが大成する。だから、「不器用なことは決して不利でない」と山本兼一著『仕事は心(しん)を叩け。刀匠・河内國平 鍛錬の言葉』
「この世は、素直な心の人が勝つ。真面目に地道に行動する人が最後は得をする」
逆にいくら才にたけても、苦労や下積みのない人生は刃がこぼれやすい。障害に、つまずきやすいものだ。
鉄は炎に焼かれ、何度も打たれることで、不純物がたたき出され、強靭な剣になる。人間もまた、苦難を経て本物の人格となる。

4、前に進むしかない
すべての世の中のことは、進歩しないときは、必ず退歩する。
・・・・・エドワード・ギボン/歴史家

ギボンは、ローマ帝国の衰亡を研究してわかった。
人は進化し続けない限り、停滞、立ち止まるのではなく、必ず衰退するのだと。人は成功し繁栄を手にすると、退廃に走りやすい。社会全体がそうなると、その国家は、文明自体が衰退していくようになるのだ。
これは個人もまったく同じだ。だからこそ、よほど 克己 の人でないと成功し続けることはむずかしくなるということだ。
これに対する知恵はあるのだろうか。
国家、社会レベルでは、一つのあり方が日本であろう。一切の権力を持たない天皇を象徴としていただきながら、新しい時代の新しい問題に取り組んでいく。個人においてはどうか。とても難しいが、渋沢栄一のように「論語」を常にそばにおいて自分を戒めるようなことが大切なのだろう。

5、人生にも “ 正念場 ” がある。その日、その瞬間を目指して、悔いのない努力をし抜いた人に、結果への恐れはない。
ただ己の全力を出し切るだけだ。

リオ五輪の開幕まで1ヶ月をきった。1896年第1回アテネ大会以来、続いている競技の一つに重量挙げがある。体重制の競技で、バーベルを一気に頭上に上げ、立ち上がる「スナッチ」と、一度肩まで上げて立ち上がる「クリーン&ジャーク」の2種類を、それぞれ3回ずつ行う。あげた重さが同じ場合、体重の軽い選手の勝ちになるので、体重を10g単位で調整するという。己の極限の戦いでもある。
重量挙げ女子日本代表の三宅義行氏が語る。「特に重要なのは、スナッチの一回目の最初の1.5秒です」1回目を失敗すると、それ以降、相手との駆け引きができず、勝負にならないからだ。4年間の苦労が、わずか1.5秒で決まる。勝負の厳しさを垣間見る思いがする。
陸上競技や競泳など、五輪に、わずか100分の1秒で勝敗が分かれる競技は多い。その瞬間のために、精神も肉体も、あらゆる準備を重ねて臨む。だからこそ、喜びも大きい。

6、失敗して前に進めない人
失敗して、前に進めない人には2種類ある。
考えたけれど実践しなかった人と、実践したけれど考えなかった人だ。
・・・・・ローレンス・J・ピーター/教育者・著述家

失敗が悪いことばかりあって、「失敗するのはいやだ」と、ハナから思い込んでいる臆病な人間が多い。ローレンス・J・ピーターによれば、そこには2種類の人間がいる。
一人が、考えたけれど動かなかったという人だ。
そもそも動いていないから失敗とは言えないようなものと思われるが、やはり失敗なのだ。こういう人は、他人の成功をみると、「あれは自分もわかっていて、やろうと思っていたんだ」という言葉を繰り返す。動くチャンスを逃す失敗常習者という存在だ。
もう一人は、実践したけれどその原因や理由を考えなかったという人だ。考えたくないのだ。
しかし、これでは実践し、失敗する意味がほとんどなくなる。失敗は、成功するために考える機会、チャンスなのだ。
ヘンリー・フォードも言う。「失敗とは、より良い方向で再挑戦するいい機会である。」と。

7、ロボットは自ら変わることはできないが、人間は学び成長することができる。自己変革の努力の中で、個性が光る自分が築かれていく。

宿題、お手伝い、掃除・・・やりたくないことだらけで、ゲンナリしていた男の子がいた。ある日、自分のニセモノを作って全部やってもらおうと、ロボットを買ってくる。
ロボットが自分のニセモノだと人にばれないように、ちゃんと自分のことをロボットに説明しなくてはいけない。さて、何から教えたらいいか・・・・・
・・・・・(ヨシタケシンスケ作『ぼくのニセモノをつくるには』)
「ぼくってなに?」「じぶんらしさってなんだろう・・?」と、“ 簡単で難しい ” 問題を考えさせてくれる話だ。
仏法では十界の生命を説く。縁に触れては心は 千変万化 していくもので、「自分」といっても「多様な自分」がいる。その中で「個性」とか「自分らしさ」を探そうとしても、他人と自分との比較に終始してしまいがちだ。
今の自分が全てではない。では本当の個性とは・・・・・
『自分のもてる力を、全部、出しきって生きてみよう』と決心して、努力に努力を重ねた人だけが、本当に「個性的』に輝いてくる。
そのために、よき模範の人、よき本、よき友が必要になる。

8、世界は一人ひとりの小さな努力の集積で動く
私は、偉大で崇高な仕事をやりたいと願う。しかし、私が主にやることは、細かな仕事をまるで偉大で、崇高な仕事のように行うことである。
世界は、英雄たちの力強い行動で動くのではなく、誠実に働く人たちの、ごく小さな実践の集積で動くのである。
・・・・・ヘレン・ケラー/教育者・社会福祉事業家

世界を変えるというような英雄になるという夢、目標、志を持つことはよいことだ。そこから人は、自分の可能性に挑戦し始める。しかし、まずは目の前の小さな実践から誠実にこなしていかなければ未来はない。
秀吉も、織田信長の “ ぞうり取り ” の仕事に真剣に打ちこむところから成功人生が始まった。英雄は、時代が求めるものである。
人々が、時代の変化の英雄としてかつぎあげるのだ。英雄は英雄で人心の求めることをうまい具合につかんだ才人なのだ。
実際の、真実の、世の中をつくり、動かし、時代を変えていくのは、ヘレン・ケラーが述べるように、一人ひとりの誠実な仕事をする人たちの努力の集積である。このことを一番わかりやすく証明しているのが日本の歴史であろう。
とくに戦後の日本は、敗戦の痛手や廃墟中から甦り、世界経済を常にリードする国の有力な一つであり続けている。世界の中でも、最も誠実で努力を重ねるビジネスパーソンが存在するからだ。

9、本は人類の偉大な財産である。
本は文明の運び人である。
本がなければ、歴史はなにも語れず、文学は沈黙し、科学は無能となり、思想と思索は立ち止まったままとなる。
・・・・・バーバラ・タックマン/歴史家・作家

中国は4000年とか5000年の歴史という。また、ギリシャ、ローマの歴史・文明をヨーロッパ人は誇りとする。
では、日本はどうか。もちろん古くからの歴史もあった。ただ文字がなかった。だから本もできなかった。本当に残念である。しかし、漢字を借用し、後に、 “かな ” を発明したことで、そしてそれを本にしたことで、日本人の文化、文明が世界でも有数の歴史を持つようになった。
江戸時代の武士道精神、今に残る素晴らしい文化、そして明治維新、その後の発展は、本を読むのが大好きで、本を大切にしてきた日本人だから生み出せた奇跡である。
いかに本が、その国の活力や発展にとって必要なのかがよくわかる。そして、それは国民一人ひとりの幸福につながり、国民一人ひとり自身の役に立ち、成功の力となるから、その集積が国力となることも忘れてはならない。

10、「人間が困難に立ち向かう時、恐れを抱く時は信頼が欠如しているからだ。私は私を信じる」
・・・・・モハメド・アリ
その言葉は、いま、戦うすべての人の胸に、拳のように突き刺さる。

“まさか ” が現実になった舞台はアフリカのど真ん中だった。老いたモハメド・アリが、若き無敗の王者フォアマンを倒した、ボクシングの「キンシャサの奇跡」である。
沢木耕太郎氏の自伝紀行『深夜特急』に、中東の子供たちが街頭に群がり、アリの勝利に熱狂する場面が描かれている。黒人差別と戦い、ベトナム戦争の徴兵を拒んで王座を剥奪されたあり。ふてぶてしいまでの強気の言動に眉をひそめる人もいたが、かれのそうした態度は常に、自分より強い存在に向けられた。
権力を恐れない。権威に卑屈にならない。だから弱いもの、 虐げられた 者ほど、アリを英雄と慕った。死して1ヶ月のいまも追悼の声は続く。
“やればできる ”という勇気を嵐のように呼び覚ましたからだ。

11、人は勉強と仕事で差がつくものである。
勉強は人のために幸福を生む母の如し。
天は万物を人ならずして、働きに与うるものなり。

・・・・・早矢仕有的(はやしゆうてき)/丸善創業者

これは、日本で最初の株式会社である丸善が、高々に宣言した創業理念である。
この文章を読んで福沢諭吉の『学問のすすめ』を思い出す。有名な、「天は人の上に人を造らず。人の下に人を造らず」の締めは、次の文章である。
「ことわざに「天は生まれながらに地位や富を与えることなく、その働きに応じて与えるものだ』というのがある。このように、人は生まれながらにして、貴賤や貧富の差はない。ただ学問に身を入れて物事をよく知るものは偉く裕福になり、学問がない者は貧しく地位も低いものとなるのです」
これは早矢仕のものとほとんど同じであり、事実二人のどちらかの起草かわからないとされる。同じく福沢がよく口にした “ 士魂洋才 ” は早矢仕の創案によるものという説も強い(丸善外史)。早矢仕は福沢の塾の当初からの弟子だった。
かつて日本橋の丸善で洋書を買い、その後屋上に出て食べたハヤシライス(早矢仕ライス)で西洋に近ずいて知的な気分になると言っていた人がいた。
(士魂洋才・武士精神を堅持しつつ,西洋の学問・知識を受け入れること。 )

12、歴史を学ぶ
大袈裟かもしれないが、歴史を学ばないということは、その世界や組織の衰退につながると思う。
・・・・・落合博満/プロ野球選手

かつてビスマルクは、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」との名言を吐いた。
フランクリンによると「愚者は経験にも学ばない」らしい。
落合博満氏はプロ野球選手として多くの金字塔を打ち立てたが、監督としてもその才能あるところを発揮した。言葉は少なくてもその姿が、選手のことを第一に考えていることがわかったのである。
この落合氏やビスマルクの言葉は重要である。どんな組織、社会にも当てはまる。なぜなら人間には過去にしか学ぶものはなく、過去の歴史こそ私たちの財産がかくされているのである。
こうした意味からも、日本人が歴史好きであるということが、日本経済が世界のトップを走り続けられる理由の一つとなろう。

13、最後まで、必死の一念を貫けるかどうか。そこに事の成否がかかっている。

「世界のクロサワ」と仰がれた黒澤明監督が、映画作りの原点にしていた思い出がある。自伝 『蝦蟇の油』 より
初めて監督を務めた映画『姿三四郎』の決闘のシーンを撮影した時のこと。現場には猛烈な風が吹いていた。過酷な条件ゆえに、1時間が2時間にも3時間にも感じたという。もう十分に撮影したと思い、切り上げたが、それは錯覚だった。いざ編集の時に見ると、撮りたりないところが、たくさんあった。
以来、氏は、仕事に臨む姿勢を改めた。「酷しい条件下では、もう十分だと思っても、その後、それまでの三倍はねばることにしている。やっとそれで充分なのだ」
釈尊が最後に残した弟子への遺言は「怠ることなく修行を完成しなさい」(中村元訳『ブッダ最後の旅』)だったという。どれだけ修行を積み重ねようが、もう十分だとと思った瞬間、堕落が始まる。「生涯求道」こそが、仏法の根本精神である。
山登りは、頂に近ずくほど、強風、低温、低酸素と、条件は過酷さを増す。同じように、人生における挑戦も、到達点を目前にした時こそ、最大の勢いと最新の注意が求められる正念場だ。

14、しんがり

戦国武将たちの「変わり兜」が最近、静かな人気だという。昆虫や動物などをかたどったデザインが目を引く。それは、恩賞や出世のために、戦場で目立つことで、味方の総大将に認めてもらう工夫だった。
そんな目立ってこその世界で、総大将の方から、実力ある武将を頼み、仰せ付ける役があった。「しんがり」である。「しんがり」を残して味方のほとんどが退却するため、その働きを見届ける人はいない。誰が見ていなくても、出すべき力を出す、真の実力者でなければ務まらない役目である。
山登りでも、経験と判断力と体力の一番秀でた人が、隊列の「しんがり」を務める。先頭に従いつつ、後ろから全員を気遣いながら、ついていけない人や、よろけたり足を踏み外したりする人を素早く助ける。
現代社会ではそういう「フォロワーシップ」こそが大切ではないか!

15、「念ずれば花ひらく」
・・・・・坂村真民(仏教詩人)

「念ずれば花ひらく」というのは、坂村真民先生のお母さんがよく口にされていた言葉だそうです。
私の父が40の厄を越えきらず幼い5人の子を残して亡くなったとき、母は36歳でした。長男の私が8歳です。それから、母の悪戦苦闘の歴史が始まるんです。
父は小学校の校長をしていましたが、何の不自由のない生活から、いっぺんにどん底に落ちてしまい、すべてが急変しました。
家も小さな家に移って、間もなく、母の母が来ましてね。「上の3人はどこかにやるか奉公に出すかせよ、下の二人の子どもだけを連れて帰ってこい」と強く、母に迫った。私はあの晩の異様な空気を忘れることができませんね。しかし、12時を過ぎ、1時になっても母は「はい」といわなかった。それで私たちは母の翼の中で生きてゆける身となったんです。
普通の女の人だったら、母親の言葉に従ったと思いますね。何の蓄えもなく、女手一つで5人の子を育ててゆけるものじゃありませんから。
しかし、それから72歳で亡くなるまで、母の一生は多事多難の連続でした。その母が苦しいとき、いつも口にしていたのが、
「念ずれば花ひらく」 です。
それを坂村真民先生は、『愚痴の代わりに―母が口ずさんでいた8字10音の真言』と詩に書かれています。
「念ずれば花ひらく、苦しいとき、母がいつも口にしていた、このことばを、わたしもいつのころからか
 となえるようになった。
 そうしてそのたび、わたしの花がふしぎと、ひとつひとつ、ひらいていった」
私の詩は風とともに消え去っても、この母の8字10音の真言は、たんぽぽが地上に存在する限り、残ってゆくと思います。

16、先人に学び、活用する
もし、私が人より遠くを見ているとしたら、それは、先人の肩の上に立っているからだ。
・・・・・アイザック・ニュートン/自然科学者

一流になるコツは、できる人、先達、偉大なる先人たちのものマネをし、自分にふさわしいものを見つけることである。
このときに注意をすべきは、どの分野の一流人のマネをするにおいても、マナーと尊敬を忘れてはいけないということだ。すべてオリジナルだったと言おうものなら、そこでその人も、その組織も(国家でさえも)おしまいだと自覚しておかなければならない。
一流こそが徳が求められるのだ。
ところで、一流というレベルをはるかに凌駕している偉人たちについてはどうか。ニュートンもそうだろう。古くは孔子もそうだった。彼らが言うのは、先人が求めたものを追っかけただけだということである。これは大いなる謙遜かもしれないが、本物は必ず先人たちの中にあることを忘れてはならない。その先人たちを追った偉人たちも先人の一人に加え、追っていくようにするのである。

17、余った人生なんて、きみ、あるんか?
「松下幸之助師匠の教え」・・・・・新屋純之輔(パナソニック客員/94歳) 

私が松下電器(現・パナソニック)に入社したのは、いまから79年前の1937年のことでした。以来、1981年に退職するまで、六年の戦争期間を挟んで44年間、松下幸之助“師匠”から直接ご指導を賜る機会に恵まれ、幸福な仕事人生を送らせていただきました。
とはいえ、私が松下師匠と本当の意味での出逢いを果たしたのは、入社後20年ほど経った1960年。松下師匠と定年退職した上司のやり取りを耳にしたのがきっかけでした。その上司は定年退職の挨拶に伺った際に、松下師匠から次のような言葉をいただいたというのです。
「風雪に耐え抜き、波浪と闘って幾十年――。自らの務めを全うして解体される船。それから料理屋の看板になる船縁の板。そういう人生が大事やで」
 昔は釣り船などの板が、解体後に料理屋の看板として使われることがよくありました。おそらく松下師匠は朽ち果てるまで働いてもなお、看板として役立つような人生を送ってほしいと激励したかったのでしょう。
 また、別の上司も退職の際に「これから大いに余生を楽しむつもりです」と、挨拶に伺ったところ、松下師匠に「余った人生なんて、きみ、あるんか?」と切り返されたといいます。
 私はそのやり取りを知って非常に感銘を受け、
「経営や仕事の方法を教えてくれる経営者はたくさんいるけれども、人生を教えてくれる経営者はこの人だけや。これは弟子としてついていくべきだ」
と決意したのです。

18、今月の言葉
常に真剣勝負
自分はいつも世界一の音楽家に聴いてもらうつもりで演奏しておる。その人はそこにはおらないだろうけれども、とにかく私はそのつもりで演奏しておる
・・・・・ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(ドイツの大作曲家)

運と性格
幸運の女神は謙虚さを好む。反対に自分を絶対だと信じて人を見下すような人、あるいは他人と自分を比較して妬む、そねむ、ひがむ、恨む、憎むといった感情を露わにする人。そういう人からは運は逃げていく
・・・・・米長邦雄(日本将棋連盟会長・永世棋聖※故人)

人生の満ち引き
人生は海と同じで満ち潮もあれば引き潮もあります。引き潮の時に落胆していても仕方がない。よい後は悪い、悪い後はよいと思っておかなきゃいけません
・・・・・大野一敏(大平丸社長/船橋市観光協会会長)

4つの信条
「足無し禅師」と呼ばれた小澤道雄氏の4つの信条

1 微笑みを絶やさない
2 人の話を素直に聞こう
3 親切にしよう
4 絶対、怒らない
・・・・・小澤道雄(シベリア抑留で両足を切断し、義足で托鉢を始めた禅僧)

一歩、一歩
どん底まで行ったら、あとは這い上がるのみです。一歩一歩踏みしめていけば、必ず幸せに辿り着く。本当に一歩、一歩。そう思います
・・・・・清水咲栄(90歳の郵便配達人※故人)

世界の見え方が変わる
個を捨てて公のために生きる。心の底からそう思えたら、世界の見え方が変わって、できることは無限に広がる
・・・・・森岡毅(ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの集客をV字回復させたユー・エス・ジェイCMO)

自分の人生を創る
漫然と生きているだけでは人生に意義は生まれません。最初に実現したいと強く思う夢や目標を抱くからこそ、それを絶えず追い求め努力していくからこそ、人生はつくられていく
川端克宜(アース製薬社長/同社最年少社長)

遠回り
ああでもない、こうでもないと悩み、遠回りしてきたからこそ、見えてくる世界があった
・・・・・梅若玄祥(能楽師/人間国宝)

ぼちぼち
何が起ころうとも、あせらず、ぼちぼちと目標に向かって前に進んでいると、何か見えてくるものがある。そんな、一つひとつの積み重ねが人生

・・・・・・塩沼亮潤(慈眼寺住職/大峯千日回峰行満行者)

毎日が感動
何気ない日常を、瞬間瞬間どれだけおもしろいと感じられるか。日々太陽が昇ることをありがたいと感じるか、感じないのか。いま吹いてきたこの風をおもしろいと思うのか。思わないのか。そういう意識で瞬間瞬間を生きることが、一生青春であり、一生修養だろうと思うんです
・・・・・武田双雲(書道家/NHK大河ドラマ『天地人』題字揮毫)

強くなる
負けて涙を流しているだけでは何万回打っても強くなれない
・・・・・井山裕太(囲碁棋士/史上初の囲碁七冠)

心に勝つ

自分の心との目に見えない闘いに勝っていくところに、成長のきっかけが舞い降りてくる
・・・・・飯尾昭夫(日本一BMWを売った伝説のディーラー)

女神を見方にする
勝利の女神は一生懸命努力する人の上にしかこない。これだけははっきりしている。で、未熟な時代は黙々とバットを振り続けた。掌を豆だらけにしてね
・・・・・野村克也(野球評論家)

周りの幸せから
身近な人であればあるほど、私と知り合ってよかったなと幸せに感じていただきたい。そういう生き方をしていると、自分が辛い時、苦しい時に、それを乗り越えていく力を周りから与えていただける
・・・・・舩津知穂(大同生命保険セールスレディ/MDRT成績資格終身会員)

限界を突破する
自分に制限をかけているのは自分でしかない
・・・・・水野彌一(京都大学アメリカンフットボール部前監督)

光に生きる
何があっても決して人を恨まず、憎まず、妬まず、光ある世界に、常に明るいところで生きていく
・・・・・塩沼亮潤(慈眼寺住職/大峯千日回峰行満行者)

徹底してやり抜く
世間的な約束事などには囚われないで、自分のしたいことは徹底してやり抜く。そうすれば、そこに一つの火が点されます。いかに長いトンネルでも掘る手を止めねば、いつかは必ず貫通する
・・・・・森信三(哲学者/教育者)

心だけは負けない
どんなに大変な状況になっても、心だけは負けたくない。自分を蔑んだり、卑下したり、周囲の助けに感謝できなくなることはだけはしたくない。それだけは自らの人生で貫いていきたい
・・・・・織田友理子(遠位型ミオパチー患者会代表代行)

江崎の黄金律
一、いままでの行きがかりにとらわれない
二、教えはいくら受けてもいいが、大先生にのめりこまない
三、無用なガラクタ情報に惑わされない
四、創造力を発揮して自分の主張を貫くには闘うことを避けてはならない
五、子供のような飽くなき好奇心と初々しい感性を失ってはいけない
・・・・・江崎玲於奈(物理学者/ノーベル物理学賞受賞者)

真の光
一球一球のつみかさね
一打一打のつみかさね
一歩一歩のつみかさね
一坐一坐のつみかさね
一作一作のつみかさね
一念一念のつみかさね

つみかさねの上に 咲く花
つみかさねの果てに 熟する実

それは美しく尊く
真の光を放つ
・・・・・坂村真民(仏教詩人)

献身
人の心は「他人のため」に献身的に努力しているとき、理想的な状態で働きます。自分の心を充実させたかったら、人の心を充実させてあげること。自分が成功したかったら、人の成功を心から望むこと。そういう生き方をすればいいのです
・・・・・村上和雄(筑波大学名誉教授/遺伝子工学の第一人者)

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