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有賀泰治ブログ

10月の経営方針共有勉強会

今月のテーマ

《より良い生き方の方程式》

2019年 10月 1日
有賀泰治

成功方程式  ➡ 『人生・仕事の結果 = 考え方 × 熱意 × 能力』
どうすればいい仕事ができるようになるか、また、どうすれば運命を好転させることができるかを示した。
・・・・・稲盛和夫/京セラ・KDDI・JAL

この稲盛和夫氏の「成功方程式」を解説。
・・・・・太田嘉仁氏、稲盛和夫氏の側近中の側近

1、成功方程式とは何か ? より良い生き方を教える方程式 !

⑴「能力」
これは多分に先天的なものであり、両親から、あるいは天から授かった知能や運動神経、あるいは健康などがこれにあたり、長丁場の人生を生きるにあたって大きな資産となる。この「能力」を点数で表せば、〇点から百点まであるといえる。
この「能力」に「熱意」という要素が掛かってくる。
⑵「熱意」
これは「努力」とも言い換えてもいいものだが、やる気や覇気の全くない人間から、仕事や人生に対して燃えるような情熱を抱き、懸命に努力する人間まで、やはり〇点から百点まである。
⑶「考え方」
「能力」や「熱意」と違って、マイナス百点からプラス百点までの大きな幅がある。人生・仕事の結果を良くしようと思えば、「考え方」をプラスにしなくてはならない。

⑷ 成功方程式は掛け算になっている。
その理由は、高い「能力」の持ち主が燃えるような「熱意」を持って、誰にも負けない努力を重ねたとしても、その人が少しでもマイナスの「考え方」を持っていたとしたら、人生の結果はマイナスになってしまうからである。つまり、「能力」が高ければ高いほど、また、「熱意」が強ければ強いほど、「考え方」によって、人生や仕事の結果は大きく異なってしまう。成功方程式は、人生の厳しさも明確に示している。
⑸「考え方」を間違えると!
自分の人生や仕事の結果も無残になった例はいつの時代、どんな人にもある。「能力」も「熱意」もあるものの、少しでも実績をよく見せたい、商才にも恵まれ、燃えるような情熱を持ち、成功した人が、いつのまにか傲慢になり、結局は失敗してしまったという官僚エリート、経営者の例も多い。
決して他人事ではなく、自己本位や自己中心という間違った「考え方」で仕事を進めると、いくら努力しても、思ったような結果が出ないということは、誰でも経験しているのではないだろうか。また、人を妬み、不平不満ばかり言っていては、決していい人生が送れないことも知っているのではないだろうか。

2、正しい「考え方」を哲学へ昇華させる

成功方程式を用いて「考え方」がいかに重要であるか教えている。
どのような「考え方」がプラス百点なのだろうか。稲盛氏は「人間として正しい考え方」だと表現されている。
それは何かといえば、それほど難しいことではなく、子供の頃、親や先生から教えてもらった、「やっていいこと」「悪いこと」であり、例えば「嘘をつくな」「正直であれ」「人のために役立ちなさい」「一生懸命懸命努力しなさい」「弱いものをいじめるな」という初歩的な道徳律のようなもの。
また、「自分にとって」正しいことでも、「相手にとって」正しいことでもなく、「誰から見ても」正しいことであり、公平、公正、正義、勇気、誠実、忍耐、努力、親切、思いやり、謙虚、博愛というものでも表せる。
しかし、残念なことに、人間は思ったより弱くてもろく、正しい「考え方」はわかっていても、それを持ち続けることは難しい。ちょっと油断するとすぐに自己本位になる。心の中はふと気づくと妄想、邪心のようなもので一杯になる。約束ごとをしても、それがも守れないとわかれば、言い訳を探す。友人であっても時に嫉妬する。選択肢があれば、楽な方を選ぶ。思い通りにならないと不平不満を口にする。弱みを見せまいと怒りを爆発させる。このようにすぐにマイナスの「考え方」になってしまう。
それはなぜか!人間には本能があり、生きていくために必要だからである。生命を維持し、種族を残すために必要な食欲などの欲望、他者から自分を守るための怒りなどは、自分が生き延びていくために不可欠なものであり、それは本能として生まれて来た時から備え付けられている。
正しい「考え方」を持ち続けることは難しい。「考え方」のレベルは簡単にプラスからマイナスに変わってしまう。「考え方」が少しでもマイナスに振れると、いくら「能力」が高く、「熱意」を持っていても、人生は悪い方へ一気に進んでしまい、それまでの努力さえ無駄になってしまう。それほど人生は難しい。

そうならないように稲盛さんは、ただしい「考え方」を、どんな環境に置かれようと、つまり失敗しようと成功しようと、揺らぐことのない哲学までに高めなければならないと話せれている。
一方で稲盛さん自身、自分も聖人君子であるわけではなく、生身の人間なので、常に100%正しい判断ができるとは言えないと率直に話されている。ただ、そうであったとしても、常にあるべき姿を目指し、自己の哲学を確固たるものにしようと今でも書を読み思索を深める努力を怠らず、また、その哲学に照らして、自分の言動、立ち振る舞いにおかしなことはなかったか、自問自答を繰り返し毎日の反省を欠かさない。

3、「熱意」とは「考え方」を実践に導くもの

「考え方」は大事なのだが、いくら人間として正しい「考え方」を持っていたとしても、実践が伴わなければ価値がない、そのために必要なのが「熱意」である。
この「熱意」とは、思い、願望、意思とも呼べるものであり、全ての行動の原動力になる。稲盛さんは物事をなすのは、この思いであり、「求めたものだけが手に入る人生の法則」として、強い思い、情熱の大切さを述べている。
しかし、熱意が一過性のものであっては意味がない。最初は強烈な願望や情熱を持って一生懸命に努力しても、ちょっとした困難に直面しただけで、すぐに弱気になる。少しの成功で有頂天になり、目的は達成したと「熱意」を失ってしまう。最初は80点もあった「熱意」があっという間に10点程度に下がり、人生や仕事の結果も、当初の期待とは大きく違ったものになる。
本物の「熱意」とは、“志”と言い換えてもいいものであり、どんな環境の変化があろうと、決して変わるべきものではない。
稲盛さんはそれを「潜在意識にまで透徹する強い持続した願望」と表現し、そうなるためには四六時中、そのことを考えていなければならないと教えている。

4、「能力」は進化する

「能力」とは先天的に与えられたものだと考えているが、一方で「能力は未来進行形で考える」とか「人間の無限の可能性を追求する」とも考えている。
稲盛さんの人間観を示している『京セラフィロソフィー』の一部を紹介する。

「仕事において新しいことを成し遂げられる人は、自分の可能性を信じることのできる人です。現在の能力を持って『できる、できない』を判断してしまっては、新しいことや困難なことなどできるはずはありません。人間の能力は、努力し続けることにより無限に拡がるのです。何かをしようとするとき、まず『人間の能力は無限である』ということを信じ、『何としても成し遂げたい』と強い願望で努力し続けることです。ゼロからスタートした京セラが世界のトップメーカになったのは、まさにそのことの証明です。常に自分自身のもつ無限の可能性を信じ、勇気を持って挑戦するという姿勢が大切です」

稲盛さんは「自分は特別な人間ではない」という謙虚さから、「人間はみんな等しく才能を持っており、努力さえすれば誰でも成功できる」と言っている。

5、外から見える「能力」、外からは見えない「考え方」と「熱意」

この「能力」という要素には「考え方」や「熱意」とは違う特徴がある。それは健康状態であれ、知的能力であれ、そのレベルはそとからもよくわかり、しかも簡単には劣化しないという点である。だから、世の中や私たちは、ある程度の「能力」を身につければ安定した生活が送れると、少しでも高い学歴を得、資格を取ろうとし、またそのような人を評価する。
一方で、「考え方」や「熱意」は極めて内面的なもの、「こころ」の中にあるものであり、外からはわからない。さらに、人間の「こころ」は極めて弱く、「考え方」は、油断するとマイナスになってしまう恐ろしい現実もある。「熱意」は時と場合によっては失ってしまうことさえある。
人生は厳しい。
いくら目に見える「能力」を身につけても、それを驕り、自分のためにだけ使うようになれば、人生の結果はマイナスになる。また、ずば抜けた「能力」に恵まれた結果、努力を怠れば、「熱意」をもって自らの能力に磨きをかけた人にはかなわない、すぐに負けてしまう。やはり、外から見えない「考え方」と「熱意」が生きていく上では何より重要なのである。

6、稲盛さんの人生と成功方程式

⑴ 稲盛和夫さんの成功方程式
若いころに、大した能力もないのに自分がどうしたら素晴らしい人生を送れるのだろうかと考え、この成功で方程式を思いついたのかと話されている。
稲盛さんは鹿児島大学工学部応用化学科で有機化学を専攻して卒業した。しかし、希望した石油化学関係の会社には就職できず、結局は京都の硝子メーカー松風工業に研究職として就職する。希望を抱いて入社してみると、赤字会社で入社早々から給料が遅配される有り様だった。当然、研究設備も十分にはない。
その頃、稲盛さんは不平不満を言い募り、転職することばかり考えていた。「考え方」はマイナスであり、「熱意」はほぼゼロに近かった。しかし、尊敬していた兄からは安易に転職を考えることを諌められた。稲盛さんは素直に反省し、「考え方」を改め、研究に打ち込むようになる。つまり、「考え方」も「熱意」も大きなプラスとなったのである。そうすると、「能力」も高まり、研究環境は劣悪なままであるにもかかわらず、素晴らしい研究結果が次々と生まれるようになった。まさに、成功方程式の通りである。

⑵ 京セラの成功方程式
京セラの成長発展も成功方程式で説明できる。稲盛さんは1959年、松風工業時代の同志7名と京セラを創業したが、最初の目的は「稲盛さんの技術を世に問う」というものであり、やや独善的なところもあった。「考え方」は60点くらいかもしれない。
創業まもない3年目、その年入社した社員11人が反乱を起こし、いろんな難題を要求してきた。稲盛さんは「生まれたばかりの零細企業に、そんなことができるはずはない。しかし、そうできるように必死で努力する」と約束し、その反乱を収める。その時に、「赤の他人ではあるけれど、社員は自分の人生をかけて、入社してきたのだから、経営の目的には経営者の私利私欲が少しでも入ったものではあってはならず、全社員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類社会の進歩発展に貢献すること」と定めた。つまり、「考え方」を高めたのである。
創業時の全社員が持っている燃えるような情熱、つまり100点近い「熱意」に、同じく100点に近い「考え方」が掛けられ、京セラは急成長を遂げた。全社員が持てる能力をフルに発揮できるようになった。その結果、技術力、生産力、資金力などの企業としての「能力」も高まり躍進遂げるようになったのである。

⑶ 第二電電、現KDDIの成功方程式
これは同じく稲盛さんが創業した2社で同じである。電気通信業の自由化が決まった時、国際的にみて非常に高かった日本の長距離電話料金を国民のために少しでも下げたいという思いで、電気通信業への進出を考え始めた。その時に「動機善なりや、私心無かかりしか」と自問自答を繰り返した。そして、自分の動機は善で私心がない、つまり自分の「考え方」が正しいことを確認すると、1984年に正式に電気通信業に進出した。
社員には「百年に一度あるかないかないかのチャンスだ。この機会を生かし、必ず成功させよう」と熱く訴えた。そして、アメバー経営も導入された。
第二電電はそれほど大した通信技術はなく、持っていたのは正しい「考え方」と強烈な「熱意」と全社員の「能力」をフルに発揮させることができるアメバー経営 だけだったが、成長を続け、現在ではauブランドを有するKDDIとして日本を代表する企業の一つとなっている。

7、成功方程式で組織も変わる。

⑴ 経営トップ
組織、企業は人間の集団であるゆえ、社員へ大きな影響力をもつ経営トップが徹底的に重要な役割を果たす。まずは経営トップが、人間として正しい「考え方」と燃えるような「熱意」、そして事業化としての「能力」をもたなくてはならない。そして、それだけでは十分ではない。まず経営トップは社員の意識レベル、「考え方」を上げることができなくてはならない。そのためには、自分の「考え方」をどのような時でも揺らぐことのない哲学までに高め、その自分の経営哲学を 自分の言葉で社員に語り掛け、浸透させなくてはならない。全ての社員が、トップの「考え方」に共鳴し、それを学びたいと思うようになれば、組織としての「考え方」は高まる。
さらに、社員の「熱意」を高めることもできなければならない。そのためには、全社員が心から納得できるような事業の夢や意義、目的を明確に示し、その背景も含め自分の言葉で語り、理解してもらうことが必要である。自らの強烈な潜在意識に浸透するほどの願望として、ひたむきに努力を重ねることが不可欠である。
そして、経営トップは、必ず成功できる成功できるという戦略を立て、それを実践してみせる。その実績が社員からの信頼を得、社員の「熱意」を高める。

一方で経営トップが燃えるような「熱意」をもっていたとしても、部下に「同じような熱意をもて」と強要することはできない。「熱意」とは心の底からしか生まれないものであり、上司から指示されたからといって決して高まるものではないからである。社員の「熱意」を高めるためには、社員の深層心理までわかるような洞察力を身につけて、社員の立場になって考えることが必要となる。

⑵ 経営トップには企業の「能力」も高める努力も必要となる。
企業の「能力」を表す一般的な項目としては財務力や技術力、製造業であれば生産力などが挙げられる。現在、高い「能力」をもち成功している企業でも、創業した時には、わずかな資金と技術だけがあり、あとは経営者を含めた数少ない社員だけというケースばかりであろう。それでも、企業の「能力」を高め成功できたのは、創業者が燃えるような情熱をもつと同時に数少ない社員を信じ、その能力をフルに引き出すことができたからである。
当然、そんな能力の中には、他者の見地を活用できる能力も含まれる。こうして、人間の無限の可能性を信じ、全社員がもてる能力を自在に発揮できるような経営システムをつくり上げた企業が結果として成功する。その代表的な経営システムが、稲盛さんが考案したアメバー経営である。経営トップはそのような経営システムを導入し、企業の「能力」を高めることができなければならない。

⑶ このことから、企業の成功方程式とは
「社員の考え方」 × 「社員の熱意」 × 「社員の能力 + 社員の能力をフルに発揮させる経営システム」
という数式で表されると考えている。

十分な資金も技術力もあり、優秀な社員もいる。それでも低迷している企業があるとすれば、リーダーの資質や社風に問題があるのではないか。そのことをこの成功方程式は教えている。つまり、企業経営において本当に重要なのは、目に見えない社風や文化であり、経営者を含めた社員の「考え方」や「熱意」なのである。すばらしい経営を立案することは重要なことではあるが、それを実行するのは人であり、突き詰めれば、その心、つまり「考え方」や「熱意」なのである。

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